トレチノイン(レチノイン酸)療法はオバジ式が有名ですが、元々は1980年後半、米国ペンシルベニア大学のクリーグマン博士によって確立された治療法で。最初はニキビに対して用いられました。その後若返り薬としても優れているとわかり、現在世界中で使用されています。

本邦では1995年東大形成外科在籍だった吉村浩太郎先生によって導入されました。現在までの長い年月、常に第一人者として我々に道を開き導いてくださった吉村先生、この導入のきっかけをお作りになられた元東大形成外科教授波利井清紀先生には本当に尊敬・感謝しております。

私は癌診療を辞めて(2001年)から2006年まで東大式トレチノイン療法を行ってきましたが、現在は 東大式とは異なる方法(仮称”超高濃度トレチノイン全顔療法”)で診療にあたっています。

トレチノイン療法

トレチノインはビタミンAから作られますが、その活性度はビタミンAの50〜100倍と言われており効果は絶大です。ケミカルピーリングという治療法の一種で、シミ・シワ治療、ニキビ治療(自費診療)に広く用いられています。前者では局所の病変部に使われることが一般的です。しかし現在当院ではたまご肌を目的として、顔全体(=超高濃度トレチノイン全顔療法)に用いています。(妊娠中・妊娠予定の患者様には使えません)

当院のトレチノイン療法(そのHistory)

1.2%トレチノン(超高濃度トレチノイン)

通常トレチノンは濃度0.05〜0.1%です。これでシミを消したりシワの改善を得ることが出来ます。

白い容器に入っているのは院内で調合した1.2%トレチノインで、真っ黄色です。チューブの24倍の濃さですが、調べた限り世界一濃いトレチノインです。

当院はこの極めて高濃度なトレチノインを

  • 顔全体に毎日塗布(1.5年以上)
  • 気になる部位と頬全体には特に多めに塗布

これを1.5〜2年実践し途中からレーザー治療も加えますと「ツヤ肌・たまご肌」を得ることが出来ます。

1.2%なんて大丈夫?過激じゃない?

当院も最初(2005年)は0.1%を局所のシミ治療などに用いていました。東大式はトレチノインで強い炎症反応が起きることを前提としてましたので、将来1.2%トレチノインを全顔に使うなど夢にも思いませんでした。

2007年から美肌治療を開始し範囲を顔全体に広げることになりましたが、それでも最初はかなり慎重に、患者様のご協力を得て

  • 範囲:少し拡大→更に少し拡大→・・・・→顔全体に塗布(2013年)
  • 使用頻度:1回/7日→1回/6日→1回/5日→・・・→毎日(2014年)
  • トレチノイン濃度:0.1%→0.2→0.25→・・・・→1.2%(2015年)

という経緯を8年(2015年に確立)経て今日に至ります。途中から誰も経験していない領域に入りましたので当然慎重にならざるを得ず時間もかなり要しました。私に付いて来て一緒に頑張ってくださった当時の多くの患者様方にはずっと心から感謝しております。

濃ければいいのか? それとも必要?

トレチノン療法の効果は様々ですが、当院では「たまご肌目的」で用いています。

「超高濃度を使ってみたらたまたまツヤ肌になれた」のではなく、”ツヤ肌になるために患者様のご協力のもと、試行錯誤して続けて来たら現在に至った”ということです。つまりやはりツヤ肌になるためには現在の濃度(1.2%)が必要と考えています。 もし0.6%濃度で目的を達していたら、それ以上濃くすることはしなかったでしょう。超高濃度トレチノインを用いた本治療を実践しているのは当院のみと自負しております。

スキンケアと当院基礎化粧品の重要性

上記のような経緯があり、今では普通に超高濃度トレチノイン連日療法を行っておりますが、ただ単に濃いトレチノインのみではツヤ肌は得られませんし、とてもriskyです。正しいスキンケアが必須ですので患者様にはそれをしっかり学んで頂き、当院基礎化粧品のもとに行うことがとても大切と説明しております。

価格

1.2%トレチノイン5g 6900円(税抜き)